交通事故は決して他人事ではありません。何時、何処で其の危険に出会うかわかりません。
今の世の中は車社会です。買い物には郊外型大手スーパーなどが主流となり、老いも若きも
車の免許を持つ時代です。この事実は、事故に遭遇する確率がいかに高いか、おわかりいた
だけると思います。では、いったいどうやってその危険から身を守ればいいのでしょうか?
まず当たり前のことですが、安全運転を心がけて事故を起こさないこと。しかし、それでも運悪
く事故の当事者になってしまったらどうするか? 自衛手段としては、今のところ「自動車保険」
に加入しておくしか方法はありません。
交通事故が起きると、必ず金銭的な損害が発生します。たとえば、クルマが傷つけば修理代が
かかるし、人がケガをしたら治療費がかかります。また、万一、被害者が死亡するようなことにな
れば、遺族への補償をしなければなりません。つまり、交通事故の後には、例外なく「お金」の
問題が発生するわけですが、そういったリスク(危険)を前提に作られたのが自動車保険です。
◆自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)とは?
自動車損害賠償責任保険(自賠責保険)とは、「交通事故の被害者が、最低限の補償を受けら
れるように」と国が始めた保険制度です。一般に「強制保険」と呼ばれていますが、公道を走る
すべてのクルマやバイクに加入が義務づけられています。自賠責の証明書をクルマに積んで
いないと、それだけで30万円以下の罰金。自賠責保険の有効期間が切れている場合は、1年
以下の懲役または50万円以下の罰金です。
とくに車検のない250cc以下のバイクや原付は、自賠責保険切れに気づかないままうっかり乗
り続けてしまうことがよくありますので、くれぐれも注意が必要です。
◆自賠責の支払い限度額(被害者1人に対する)
死亡事故 1.死亡による損害 3000万円
2.死亡に至るまでの傷害による損害 120万円
傷害事故 3.傷害による損害 120万円
4.後遺障害による損害 介護を要する後遺障害 4000(3000)万円
~3000(2590)万円
その他の後遺障害 3000万円[第1級]~75万円[第14級]
現在、この自賠責保険の賠償金の最高限度は1事故1名につき、死亡3000万円
、重度の後遺障害4000万
円、傷害120万円と決められています。1回の事故で何人もの被害者が出た場合は、それぞれ
の被害者に対してこの限度額まで支払われ、保険期間中なら何回事故を起こしても保険金額
は減額されません。また、加害車両が2台以上のケースでは、「共同不法行為」といって、それ
ぞれの自賠責に保険請求ができるので、補償の限度額は加害車両の台数をかけた額になります。
たとえば、歩行者がクルマにはねられた直後、反対側から走ってきたクルマにもひかれてさら
に死傷してしまったようなとき、双方のクルマに過失があったとすれば共同不法行為となり、
自賠責の支払限度額は2倍、つまり傷害の場合で240万円、死亡で6000万円になります。
自賠責保険だけではカバーできない現実ところが最近の判例では、交通事故で死亡したり、
後遺障害を負った人に対して、自賠責の限度額をはるかに超える高額な損害が続々と認め
られています。傷害事故でも、被害者が骨折を伴うような重傷を負った場合には、あっという
まに120万円をオーバーしてしまうことも決して珍しくありません。こうして現実に起こった事故
を見ていくと、自賠責保険だけではカバーしきれないものが多く、ドライバーはその不足分を補
ってくれる自動車保険を自分の意志(任意)でかけなければならないのです。
また、「自賠責に入っていれば、とりあえずクルマの修理代だけは何とかなる」という勘違いを
している人も意外に多いようですが、自賠責はあくまで「対人保険」であり、保険の支払いが
できるのは「他人」に対する損害だけに限られます。クルマやガードレールといった「モノ」に
対する損害や、自分の体、自分のクルマに対する損害は「任意保険」で補うしか方法があり
ません。自賠責とは、あくまで「人に対する必要最小限の保険」と理解しておくといいでしょう。
◆自動車保険の本来の目的は?
本来、自動車保険とは、事故による「損害賠償」という状況を想定し、被害者救済が滞らない
ように(つまりは加害者が金銭的リスクを回避できるように)生まれたものです。万一、交通
事故を起こして、他人の生命や財物に損害を与えてしまった場合、加害者はそれを償わな
ければならないのです。もし、死亡事故を起こして、遺族から1億円の損害賠償を請求され
たら、自賠責保険のオーバー分である7000万円を自分で支払うことができますか?
自分の過失で高級車に衝突し、数百万円という損害賠償を請求されたら、いったいどうしま
すか?こうしたときにカバーしてくれるのが、任意の「対人賠償保険」と「対物賠償保険」です。
自動車保険をかけるときは、まずこの2つの賠償保険を最優先で充実させることを念頭に置く
べきでしょう。
◆本当に必要な保険や特約を見極める
一方、搭乗者保険や人身傷害保険などは賠償保険ではなく、「傷害保険」に分類される種目です。
また、自分のクルマの修理代をカバーしてくれる車両保険や身の回り品特約なども、あくまでも
自分の財物に対する保険です。自動車保険の自由化以降、それぞれの保険会社が独自の商品
や特約を開発し、宣伝しています。最近の自動車保険は、こうした契約者自身に対する補償を厚
くする傾向が強いようですが、見積もりを取るときは、まず他人に対する賠償保険を充実させ、
その次に、自分のために必要な保険や特約をチェックしながらその保険金額を決め、組み合わせ
ていけばよいでしょう。
◆ 自動車保険 取扱損保会社一覧
三井ダイレクト
アメリカンホーム
あいおい損保
富士火災海上
日本興亜損保
ゼネラリ
東京海上日動 アクサダイレクト
チューリッヒ
三井住友海上火災
AIU
JA共済連
全労災
エース損害 ソニー損保
そんぽ24
損保ジャパン
共栄火災海上
セコム損保
日新火災海上
ニッセイ同和損保